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親と子どものためのADHDナビ

体験談

ADHDとASD(自閉スペクトラム症)

その子に合った対応法を見つけて、本人も自信が持てるようになった Hくん(10歳)の場合

監修:長野県立こころの医療センター駒ケ根 副院長
原田 謙 先生

Hくんは出生直後から夜泣きがはげしく、手のかかる子どもでした。生後5ヶ月からつかまり立ちを始め、歩き始めるのも平均より早く、小さい頃から多動や不注意が目立ちました。人見知りはしませんでしたが、視線を合わせないところがありました。
しょっちゅう迷子になっていましたが、お母さんがいなくても平気な様子で、お母さんが迎えに行ってもケロッとしていました。
お母さんは子育ての大変さを発達支援センターへ相談し、児童精神科を紹介されました。

医師に、「Hくんが生まれてから現在までの様子を詳しく聞かせてください。」と言われ、お母さんはまず生まれた頃の特徴を話しました。Hくんは幼稚園でも1人遊びが好きで、お遊戯などの集団行動には参加しませんでした。

興味のあることへの集中力はきわめて高い反面、邪魔されたり禁止されるとパニックになり手のつけられないところがありました。特に時間へのこだわりが強く、スケジュールが急に変更されたときにパニックとなったこともありました。
遊びの順番が待てなかったり、気に入らないことがあったら手を出すこともあるため、お友達とケンカになることもしばしばでした。

医師は、お母さんの話を注意深く聞き、その後いくつかの検査の結果、「Hくんには、多動や不注意などのADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)の特徴があると同時に、視線を合わせない、こだわりが強いなどのASD(自閉スペクトラム症)の特徴の両方がみられます」と言いました。そして、「Hくんは、人の気持ちを察するのが苦手ではありませんか?」と尋ねました。“人の気持ちへの共感性の低さ”は、ASD(自閉スペクトラム症)にみられる特徴の1つなのだそうです。

「そういえば…。」お母さんには思い当たる部分がいくつかありました。
父親がイライラしていても、まったく気にせずに気持ちを逆なでするようなところがあったり、先日も、夫婦げんかをして、お母さんが泣いていたのですが、その横でHくんはおもちゃで楽しそうに遊んでいました。

Hくんは、知能検査、文章を完成させる検査や絵を描く検査などを受け、お母さんは、行動のチェックリストと生育歴を記入しました。

その結果から、Hくんは、「目で見て理解する力は十分ありますが、耳で聞いて理解する力が少し弱いようです。」と告げられました。Hくんは目から入る情報に比較して、耳から入る情報を理解して表現する力が弱いことがわかったのです。

Hくんには「視覚的に訴えたほうが理解しやすい」ことがわかったので、医師からのアドバイスを受け、苦手なことは視覚的にわかるよう工夫をすることにしました。
片づけが苦手なHくんが生活しやすくなるように、棚などの収納にはわかりやすい絵を貼りました。また、時間に対するこだわりを配慮して、スケジュールを事前に提示し、変更がある場合は早めに伝えるようにしました。

お母さんは、医師から教えてもらったようにHくんに接するようになって、子育てがずいぶん楽になったと感じていました。

Hくんも、「最近、お母さんや学校の先生に怒られることが少なくなってきたよ。机のまわりや引き出しの中も、最近はきれいに片付けられるようになったんだ。」と自分に自信をもてるようになったようです。

原田先生からのコメント

多動や不注意はお薬により改善されることが多いのですが、ASD(自閉スペクトラム症)がある場合、その子に適した対応をとらなければ、本人が周りの人の意図や指示を理解できないことがあります。“いくら注意してもなおらない子ども”というレッテルを貼られてしまわないよう、そのお子さんの特徴をとらえ、それに合った方法で接することが大切です。

誤解を受けないためにも、学校の先生には症状の特徴と有効な対応法を伝えておくとよいでしょう。担任の先生やクラスメイトからの評価が低ければ、お子さんの自尊心を低めてしまうことにもなりますので、楽しい学校生活のため、健やかな成長のために、学校の協力を求めることが有効です。

また、お子さんが小さいときにはあまり困らなかったことでも、成長するにつれて気になるようなことがあれば、そのつど医師に相談してください。

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